時に絵本のようで、時に奇妙な魔物のうごめく他界のようで、時々猟奇的な顔も覘かせる彼女の世界は、いつもはっきりしたイメージとして、頭の中に現れるらしい。
下書きは、何の迷いもなく、スラスラと紙の上に表出される。
あとは点々やら、模様やらで、淡々と埋め尽くされてゆく。
そうして彼女の作品は少しの滞りもなく生まれる。
休職していた頃、不安やそわそわした気持ちを落ち着かせるためにカウンセラーから勧められ始めた創作活動は、元気になった今も、生きにくさを抱える彼女にとって、なくてはならない【行為】であり、【行為】でしかない。
しかし、その世界はわたしたちの脳幹に、心地よさと、痛みと、少しの戸惑いを同時に感じさせる。
観ていて沸き上がるのは、理解ではなく共鳴である。